インドの青鬼 インディアペールエール(IPA)とは?

エールビール

 

こんばんは、酔っ払い犬のポチです。今日も楽しく飲んでいます。

今日ご紹介するビールはインドの青鬼で、よなよなエールのヤッホーブルーイングが造ったインディアペールエールです。このビールの特徴はなんといっても、インディアペールエールらしい、強烈なホップの苦みです。このインディアペールエール略してIPA(イパでなくアイピーエー)と表記され、多くのビール通を虜にしてきた、スタイルです。ポチもインディアペールエールは、ゴールデンストロングエールと並ぶ大好きなビールスタイルです。

下の図を見てもらうと分かる通り、そもそもビールはラガービールとエールビールに分かれます。イギリスで主流だったエールビールはさらに色の濃さによって薄い方から順にペールエール、アンバーエール、ダークエールの3種類に分かれます。一番色の薄いのがペールエールになりますが、それでも日本のピルスナー(ラガー)より、濃い色合いをしていますので、ペールエールが一般的なエールビールだと思っていただければOKです。

 

このペールエールがさらにアメリカンペールエールやインディアペールエールなどに分かれます。アメリカンペールエールはイギリスでなく、アメリカで造られたエールビールです。

同様に、インディアペールエールはインドで造られたペールエールではありません。イギリスからインドへ輸出されたペールエールのことを指すのです。さらにこのインディアペールエールはたかだかインドに輸出されたと言うだけなのですが、現在とても人気のある、ビールの1大ジャンルとなっています。

現在日本の各地で、様々なクラフトビールが造られていますが、IPAを数多く見つけます。(そして見つけたら、試しに飲んでしまう)それだけ人気のあるビールスタイルなんですよ。

でも、おかしくありません?

たかだか、インドに輸出しただけですよ。なぜインドに輸出しただけでこのような人気ビールが出来上がったのでしょうか?

それはホップたくさん使ったことに由来します。

でっ、ホップって何ですか?

ビールの原料は麦とホップである、と言う事は多くの方ご存知かと思います。しかしなぜ麦以外に、ホップと言うものが必要なのでしょうか? ワインなど、ぶどうだけ造っているのに、なぜビールはホップっていう、よくわからないものが使われるのでしょうか?。その答えはホップの消毒作用にあります。ビールはもともと、アルコール度数が4~6%前後と弱く、醸造中に雑菌が繁殖しやすく、腐敗しまうことが多いお酒でした。そこで殺菌作用のあるホップと言う植物を、醸造中に加えることによって、雑菌の繁殖を防ぎ、おいしいビールを安定的に造れるように工夫してきたのです。

ただこのホップには、殺菌作用以外にも、強い苦味や、ものによっては、さわやかな香りもあったのです。殺菌用に使ったポップではありましたが、副産物的に苦味や香りをビールに与えることになったのです。

さて、インドへ輸出されたペールエールですが、なぜホップが、他のビールよりも多量に使われていたのでしょうか?

っていうか、なぜ、イギリスはそんなにインドにペールエールを輸出していたのでしょうか?ちょっと謎ですよね。

これは歴史的背景があります。インディアペールエールができるのは18世紀頃になりますが、その時インドはイギリスの植民地となっていました。イギリスが、インドにつくった、東インド会社によって、インドの物資をイギリスに輸出、持ち帰ります。それによってイギリスは大きな経済的発展を遂げるに至ります。

そんなこともあり多くのイギリス人が当時のインドに住んでおり、そのイギリス人が飲むためのエールビールをイギリスからわざわざ輸送してきたのが、インディアペールエールの始まりです。

しかし、ただ、イギリスからインドへ輸送すればOK、と言ったようなものではなかったのです。イギリスからインドへ輸送するには、赤道直下を2回も超える必要があります。アルコール度数が低いビールは高温下で保存すると、雑菌が繁殖し、腐敗してしまうのです。

そこで目をつけたのが、殺菌効果のあるホップです。つまり、今までよりもホップを大量に仕込み、エールビールを造って、インドに持ち込んだのです。大量にホップを使ったので、腐敗せずにエールビールをインドに持ち込むことができるようになりました

しかし、ホップを多量に使っているため、普通よりも苦味の強い、ペールエールができました。これが、インディアペールエールとなるのです。そして、ホップを多量に使った、強い苦みが、今では他のビールにない、インディアペールエール強烈な個性と、認識されているのです。

さて、今回紹介する。インドの青鬼ですが、例に漏れずとても苦味の強いビールです。香りはエールビールらしい、フルーティーさがちゃんとあります。しかし、飲んでみると一瞬エールビールらしい、フルーティーな味わいがするのですが、その後、急激に苦味が押し寄せてきます!「これがホップの苦味か!」と言うことが良くわかります。このビールを飲んで良い所の1つとしては、ホップの苦味とはこの味っていうことが、明確にわかることです。しかもこの苦味がまたまたやみつきになっちゃうんですよね。中毒性のある苦みが、病みつきになるのもIPAの特徴ですね。

ところで皆さん、当時のイギリスが、インドを効率的に植民地支配するために、何を行ったかご存知でしょうか?

インドの、ヒンズー教徒とイスラム教徒を、あえて対立させ、その対立を、煽ったのです。こうすることにより、インド人の、イギリスに対する敵意を、互いの宗教徒に向けるように仕向けたのです。しかし、このことは、人類とって、大きな負の財産を残します。

戦後、インドはイギリスから独立をはたしますが、宗教対立は収まらず、ヒンズー教のインドと、イスラム教徒のパキスタンへ分裂してしまうのです。さらに、その後この二国の対立は続き、今までに3回も戦争をしています

現在では、互いに核兵器を保有し、牽制しあうまでに至ってしまいました。ほんとにイギリス、とっても迷惑なことをしてくれますよね。ですので、現時点でイギリスのインド植民地化の歴史は、核保有国同士の対立と言う、人類全てに対する脅威となってしまったのです。いやーほんと、のんきにエールビールに輸出してる場合ではありませんよ。

愚かな人類の、苦い苦い負の歴史が造った、苦い苦いビール、それがインディアペールエールです。この苦みは、人類の愚かさの味、ぜひご賞味を!

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