スタッグス・リープ  パリスの審判 (その後編)

ワイン

さてさて、衝撃な結末になった、パリスの審判ですが、ワイン界へ与えるインパクトは非常に大きいものとなりました。当事者のフランスワインとアメリカのカリフォルニアワインは言うに及ばす、その他のニューワールド、オールドワールドワインともども、インパクトを与えました。

以下ではカリフォルニアワイン、ニューワールドワイン、オールドワールドワイン、そして最後にフランスワインの順番で、パリスの審判後の影響を見ていきたいと思いますね。

・カリフォルニアワイン

パリスの審判に勝利したカリフォルニアワインですが、皆さんご想像の通り、大フィーバーで、世界中でその実力が認められ、人気を博しました。特に審判で、良い成績をとったワインなどは、母国アメリカなどで、品薄状態と言うより、入手困難になったようです。皆さん現金ですね(笑 そしてアメリカ人の多くの人が、自国のワイン産業に興味を持ち出し、オーパスワンをはじめとする新たなワインが誕生することとなったのです。

スタッグスリープ

・ニューワールドワイン

ニューワールドとは、近年ワイン造りを始めた国で、アメリカ、チリ、アルゼンチンなどを指し、そこで造られたワインをニューワールドワインと呼びます。

カリフォルニア以外の、ニューワールドにおいても、パリスの審判の影響は非常に大きいもので、彼らの意識を変化させることになるのです。

簡単に言ってしますと、「あいつら(カリフォルニア)にできたんだから、俺らにも出来るんじゃね?」と考えたようで、特にニュージーランドやオーストリアで高級ワイン造りが加速したそうです。また、チリにおいても、コンチャイトロとシャトームートンの協働出資で、アルマヴィーヴァが誕生することになります。

このように、カリフォルニア以外のニューワールドにおいても、フランスワインを超えるワインを造ろうとする機運が出てきたのです。

シャトームートンとコンチャイトロのタッグでできたアルマヴィーヴァ

・オールドワールドワイン

フランスをはじめ、イタリア、スペイン、ドイツなど伝統的にワインを造ってきた国をオールドワールドと呼び、そこで造られるワインをオールドワインと言います。

ただ、オールドワールドと言いましても、やはりフランスは別格で、フランスのような高級ワインを造れると考えていたところは極めてまれでした。しかし、パリスの審判で、ニューワールドがフランスに勝利したことにより、彼らの考えも変わっていったのです。

「ニューワールドの連中がフランスに勝てたのだから、オールドワールドの我々にできないはずがない!」と言ったように!

また、イタリアでは1970年代にスパータスカンと呼ばれるワインの品質向上が、目覚ましい時期でもありました。(イタリアでは、伝統的にサンジョベーゼと呼ばれる品種が使われていましたが、このスパータスカンは国際品種のカベルネソーヴィニヨン、メルロから造られる高級ワインのことです。)パリスの審判の影響を受けて、それから2年後、デキャンタと呼ばれる雑誌でブラインドテイスティング対決が行われました。この試飲会ではこれまたスパータスカンのサッシカイアがフランス5大シャトーのマルゴーを押さえて1位を獲得し、名声を得ました。フランスワインは、カリフォルニアに続き、イタリアワインにも敗れる形になってしまったのです。

サッシカイア

・フランスワイン

パリスの審判の影響を、最も受けたのは、やっぱりフランスです。

まず、パリスの審判後、結果に関しては、納得のいかない人から、案の定非難、中傷の論調が出てきましたし、陰謀論やデマが飛び交う、始末でした。もう、ホントに醜い! その中には、フランスワインは熟成させてから、美味しくなるので(必ずしも、熟成したワインの方が美味しいとは限らない)熟成後に試飲すればフランスワインが勝利するっといった意見もありました。そのため、パリスの審判以降も、数度フランスワインVSカリフォルニアワインのブラインドテイスティング会が行われましたが、すべて、カリフォルニアの勝利に終わっています。

シャトームートン

つまり、フランスワインは1976年にパリスの審判で、カリフォルニアワインに敗北し、その2年後、イタリアのサッシカイアに敗北。その後複数回行われた、パリスの審判のリターンマッチにすべて敗北したということです。ここまでくると、逆にフランスワインがかわいそうになってきますね。

さすがのフランス人もここに至って、ニューワールドの実力を認めざるおえなくなりました。そして伝統と格式で、カッチンカッチンに固まっていた、フランスンワイン造りを反省し、ニューワールドのような、科学的な分析や、新技術を導入することによる、ワイン造りの改革に乗り出していくことになるのです。また、フランス以外の地域でも、高品質なワインを造れることも、しぶしぶ認め、フランスのワインメーカーは自国以外でも、積極的にワイン造りを行うようになりました。

有名ところとしては、シャトー・ムートンのアメリカのワイナリーロバート・モンダヴィの協力で造られたオーパスワンなどです。また、シャトー・ムートンは、チリでもコンチャイトロと協同出資でアルマ―ヴィヴァを造りました。

オーパスワン

このような、状況で、近年のフランスワインの品質向上は目覚ましいものがあり、特に格付けワインにおいては、他のワインに引けを取ることは無くなったと言っても過言ではないでしょう。つまり、現在、誤解を恐れずに言うと、ニューワールド、オールドワールド関係なく高級ワインの品質に大きな差はなくなってきています。それらの差は、品質よりむしろ好みの問題に近いかもしれません。

そして、このような場合、消費者は高級ワインの何を求めるかと言うと、そのワインの背景にある物語=ヒストリーでそこから生まれ出される思い入れ(ブランド感)になります。この点に関して最も強いワインこそフランスワインなのです。

結局、現在においても、フランスの高級ワインは、ワインの王者として、絶対的な存在として君臨しているのです。

ワインと言えばフランス!恐るべし、ワイン王国。

ポチ、この頃思うんですよ。パリスの審判の勝者って、実はフランスなんじゃないかなって!

 本日はお高いワインばかりです。

スタッグスリープ カスク23


アルマヴィーヴァ チリで造られるコンチャイトロとムートンのコラボワイン


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